『第3回はつかいち国際バレエコンクール』に参加くださったダンサーの皆さんお疲れ様でした。この大変なコロナ禍の中で沢山の不自由があったと思います。実行委員のスタッフの方々、舞台スタッフの皆さまの温かいサポートのお陰で無事に終える事ができました。ありがとうございました。

1度は延期となり、10月5日～8日の開催も不確実の日々の中、エントリーなさった皆さんは、頑張りの気持ちを保ちつつ、どうにかこの日を迎えられたことと思います。その中でワークショップ&コンクールをこなされた事、とても素晴らしかったです。
また、ご指導くださった先生方、大きな応援と沢山のご協力を頂きましたご家族の皆様、本当にお疲れ様でした。
皆さんと出会えたことはもちろん、毎回クラスを頑張っている姿を見れたことはとても嬉しかったです。
3名の講師によるワークショップで日に日に成長して行く姿は、大変素晴らしかったです。

そして最後にコンクール。

素晴らしい経験でしたね。
お一人お一人の頑張りの姿に拍手。
私自身、沢山の発見と学びを頂きました。

ステージは、
「一歩舞台へ現れた瞬間にそのダンサーの全てが見える」と言われる程、恐ろしい空間です。

日々の、コツコツとした努力の積み重ねの大切さはもちろんの事、色々な物事に興味を持つことで、沢山の知識を得るきっかけになるでしょう。

我々は表現者です。

全身で声のない台詞(セリフ)を語り、表現しなければなりません。
日々のレッスン同様、沢山の勉強をなさって欲しいと思います。

美しい物に触れる、素晴らしい音楽を聴く、素晴らしい絵画を見る、舞台芸術は総合芸術です。
表現者として技術と共に心も豊かに育んで頂きたいと思います。

私も英国スコティッシュバレエ団で9年間、プリンシパルとして沢山の貴重な経験をしました。また、帰国後は全国各地で沢山の作品に主演させて頂きながら、今では講習会の講師としてご指導させて頂く機会にも恵まれております。
自分が経験してきた宝物を、これからの才能溢れる若いダンサーの皆さんに少しでも伝えできたらこんなに嬉しい事はございません。

この、はつかいち国際バレエコンクールでも、世界に羽ばたくダンサーが誕生する応援をさせて頂けます事に喜びを感じております。

皆さん、これからも頑張ってください！
自分の夢に向かって強い意志を持って戦ってください。

まだまだ油断できない日々ですが、皆さんがコロナに負けず健康であります様に、全世界に1日も早い平和が戻ってくれます様に、心から願います。

皆様の幸せを願って！

下村由理恵

第3回はつかいち国際バレエコンクールに対しての総評としてお話しさせて頂きます。

全体的な印象としましては、良くまとまったレベルの高いコンクールだと感じました。
バリエーション審査の他に、ワークショップ、人によってはパーソナル指導、一人に対して様々な姿を見ることができ、審査員の先生方はもちろん、私共講師にとっても、ダンサー個人の力量や素質を計りやすかったように思います。

＜CP部門＞
年齢の割にしっかりと踊れていて、一つ一つのステップを大切にこなそうとしていて好感が持てました。全体的にバレエを楽しんでいる姿がよく見てとれ、今の気持ちを忘れずに成長してもらいたいです。

＜CJ1A部門＞
若干名ポワントを履かれている方も見かけましたが、ほとんどはバレエシューズ。近い将来トウシューズを履きこなせるように、もう少し強い足、高いルルベが見たかったです。普段のクラスレッスンが強い足を作ります。もう少し厳しく取り組んでみましょう。

＜CJ1B部門＞
この年齢になると原形に近い振付や、次のテクニックへ挑戦したり、スケールの大きな踊りができたりと華やかになってきています。その反面、音楽に対する意識が薄くなったり、ポジションがルーズであったりする方も見受けられました。基礎を固めておかないと新しいことに挑む度に軸が崩れやすくなります。自分を甘やかさず、しっかり土台を作って下さい。

＜CJ2部問＞
四肢がよく伸び、均整の取れた美しいラインの子をワークショップで沢山見られて、日本人の身体が変わってきていることを再認識しました。講師の意見の受け止め方も良く、気持ちよく指導できました。ただそこにも個人差はあり、他の子の影に隠れたり、引っ込みがちだったりする子もいました。何事も正面で受けた方が吸収しやすいですよ。
踊りに関しては、作品の背景を理解できている子も多く、良くコントロールされていて安心して見ることができました。表現的には少し薄過ぎたり、出し過ぎたりと具合が難しいですね。料理と一緒で、しっかりと出汁、味は出しつつ、雑味エグ味は出さない……例えが難しいかも知れませんが、もう少し研究の余地ありですよ。

＜CS部門＞
年齢的にはプロを意識しないといけない年頃。人を押し退けろとは言いませんが、もう少し前に出て自己アピールしたほうが良いのではと感じる人が多かったです。人の目を気にしたり、過度に失敗を恐れたりしていると成長は遅くなってしまいますよ。この年齢の吸収力、成長率はとても高いです。この貴重な時間を無駄使いしないよう意識高く取り組んでほしいです。
また、身体のバランスが変わりやすい年頃でもあり、今まで簡単にできていた事ができなくなる子も多いかと思います。成長が遅くなっていることに腐らず、上手くなることを諦めず戦って下さい。その時間がいつか糧となって返ってきて、新しい自分を助けてくれるはずです。

あとバレエ男子に一言。
クラスレッスンにもっと厳しく取り組もう。女性に比べてポジションや足先、小さな繋ぎのステップに対する意識が低すぎます。
バリエーションの約１分に関しては沢山練習してきた事が見えます。しかしバレエ力を鍛えるのはクラスレッスンです。目先のピルエットやジャンプ、その他テクニックに気を奪われないよう気を付けて下さい。テクニックだけでは全幕バレエは踊れません。素晴らしいプリンシパルを目指して日々厳しく歩んでほしいです。

最後に全体に一言。
舞台で踊るとき、ステップや表現を通して、踊っている人の全てが客席に伝わっていると僕は感じています。その人の優しさも、ズルさも全てです。これはとても恐ろしい事。
今まで何度も世界的プリンシパルとお仕事をしてきました。客席から見た時に素晴らしいと感銘を受けたダンサーは人間的にも超一流の素晴らしい人でした。あの人間性があるからこそ、なんとも言えない心地よい空気が客席を包むのだと感じ、僕もそうありたいと考えるようになりました。
皆さんもできるだけ人に優しく、家族はもちろん、自分やバレエに携わっている全てに感謝しながら生きてください。きっと自分の出すオーラや波動が変わり、いいダンサーへの近道となるでしょう。

偉そうに話した僕自身まだ現役のダンサーです。
一緒に戦って素晴らしきバレエを世に広めていきましょう。

以上を総評とさせていただきます。

またどこかでお会いしましょう。

佐々木大

「第3回はつかいち国際バレエコンクール」がこのコロナ禍で無事に開催され、沢山の若いエネルギーが集う場となった事は、とても素晴らしい事だと思います。
平日に関わらず集まった皆さんの「バレエが大好き」「うまくなりたい」という気持ちがひしひしと伝わって来ました。
コンクールで溢れている日本ですが、私はバレエは競技ではないと常々思っています。「賞を取れないから私はダメだ」と言ってバレエを辞めてしまう子、辞めさせてしまう親、沢山見てきました。とても勿体ない事です。どうか「バレエが大好き」「うまくなりたい」をこれからも忘れずに、日々レッスンして下さい。

ワークショップをやっていて感じた事ですが、「返事」は大切にして下さい。「YesorNo」は海外だけでなく日本でも、バレエ界でなくても必要です。自分の意志を相手に伝える事はとても重要です。
また演技を見ていて感じた事なのですが、役の理解度が低い子が見受けられました。「この踊りはどういうシーンでどういう感情なのか」、それを振りに合わせて表現するのが「踊り」です。基礎やテクニックは勿論重要ですが、役を沢山研究する事を忘れないでください。

これからも皆さんが輝き続ける事を願っています！！

堤　淳