NBAバレエ団芸術監督、久保紘一様インタビュー


第1回目のインタビューは、NBAバレエ団芸術監督である久保紘一様にインタビューさせていただきました。

久保紘一様のご紹介から

【経歴】元コロラドバレエ団プリンシパル、当時世界で最高峰の第6回モスクワ国際バレエコンクールでトップの成績を16歳でジュニア・シニア男女合同にて獲得し、のち渡米しボストンバレエ団のゲストダンサーなどを経てコロラドバレエ団のプリンシパルとして迎えられた。以降20年同バレエ団でプリンシパルとして活躍した。ニューヨーク公演ではNYタイムスで「完璧なるバレエの巨匠」といわれるなど、小柄ながらもダンスクラシックの精神を体現している舞踊家として、日本人では初めてダンスマガジンの表紙を飾り、彼の特集が紹介された。モスクワポリショイ劇場やNY、また米国のベイル市などの世界ガラ公演に度々出演、風格在る様式美からなる彼の踊りは辛口の評論家からも絶賛されている。「ドン・キホーテ」「ジゼル」「くるみ割り人形」「眠れる森の美女」「コッペリア」「ロミオとジュリエット」「シンデレラ」「白鳥の湖」等、殆どの古典の全幕作品のタイトルロールを踊った。またバランシン作品、有名振付家による創作作品などでの全てに主演している。又彼の為に作られた作品も数多くある。米国在住19年を経て2010年にコロラドバレエ団を退団後、2012年NPO法人NBAバレエ団の芸術監督に就任。次々と意欲的作品を発表し日本のバレエ界にて注目されている。2015年NBAバレエ団の数々の公演の成果により文化庁芸術祭新人賞を受賞。

 

Q.まずはバレエを始めたきっかけを教えてください。

父は東京バレエ団や谷桃子バレエ団、牧阿佐美バレエ団で活躍し、母は谷桃子バレエ団で活躍というバレエダンサーであり、叔母が隣の家でバレエ教室を開いていたこともあり自然とバレエをならうようになりました。

 

Q.バレエを続けてきて辛かったことやくじけそうになったことはありますか。

正直なところ辛いと思ったことはなく、少しはあったのかもしれないがそれよりも楽しいことのほうが多かったですね。ひとつだけ挙げるとすれば膝のじん帯を切ってしまったときですかね。特にリハビリがしんどく、元のように踊れるまで時間がかかりました。ですがその間もバレエに対する情熱はかわりませんし、その情熱があったからこそそのケガから復帰できたのだと思います。

 

Q.これまで踊ったなかで最も印象に残っている作品とこれから踊ってみたい作品を教えてください。

クラシックでは「ジゼル」、「ロミオとジュリエット」のようなドラマ性のあるものが好きですね。37歳で一線からは引いているのでこれから踊ってみたいというのはそれほどないですが、今回のNBAバレエ団の公演の「死と乙女」は久しぶりに踊りたくなりましたね。それくらい何か感じるものがありました。あとはNBAバレエ団としてはこれからもいろいろと新作にチャレンジしていきたいと思っています。

 

Q.バレエ界の最前線で居続けるために健康など気を付けていることはありますか。

体調やケガには注意しています。特にケガは予防すればかなりのことを防ぐことができますし、もしケガをしたとしてもすぐに適切なケアをすればそれほど長引くことはありませんから。これはプロとして決して怠ってはいけないことと思っています。

 

Q.将来バレエダンサーを目指す子どもたちにどんなところに気を付けてレッスンをしたらいいかアドバイスをお願いします。

真剣にプロを目指している子から趣味でやっている子などいろいろいると思いますが、大切なことはバレエを好きでいることだと思います。そしてしっかりと目標を持ち、その目標を達成するためにあきらめずに前に進んで欲しいですね。バレエは残酷なので身体条件や音楽性など素質がないとトップにはなれません。それであきらめてしまう子も多いと思いますが、ケガをしないようにしながらしっかりレッスンをして目標に向かって進んで欲しいと思います。あと、よくコンクールの結果ばかり気にする子がいますが、目標のひとつにはなるとは思いますがコンクールがすべてではないので、もっと広い視野で、特にプロの舞台を観に行くと得られることはかなりあると思いますのでそういったことでも勉強してほしいと思います。

 

Q.5月末にNBAバレエ団の新作公演があるそうですがどういった作品なのでしょうか。

演目は「死と乙女」という作品で、これは素晴らしい人との出会いによってうまれました。以前取材で日本のオリジナルをやってほしいと言われ、コンセプトや人選で悩んでいたところ太鼓奏者の林英哲氏を紹介され、いつか一緒に舞台を作りたいですねとお話をしたところ、その後それが実現できそうなこととなり、林氏から新作ならこのかたに作曲をお願いしようと作曲家の新垣隆氏を紹介していただきました。そこに振付家の舩木城氏が加わり「死と乙女」が作られることとなりました。作品を作り上げる中で自分たちにもお客様にも刺激を与えたいと思い、今回はきれいなだけのバレエでなくかなり刺激のあるものとなっています。和太鼓は鼓動と共鳴するように直接身体に響きわたり、ピアノはその情景を語りかけるようにメロディを奏で、その踊りは息を吸うのも忘れるような迫力があります。それぞれが最大限に力を発揮してひとつの作品となっていて、その絶妙なバランスが難しいところであり、魅力でもあります。以前からすべてが日本人で日本のオリジナルバレエを作りたい、そういった思いがあり、そしてその作品で世界に打って出たいと考えていました。「死と乙女」は和太鼓・作曲・振付・ダンサーすべてが日本人で完全新作のバレエです。この作品をそういったものにできたらと考えています。


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